逸見悦子(千葉県) 087

四万十川の瀬音に混じり学童の声の聞こゆる土手の夕映え
画像


    四万十川の瀬音に混じり学童の

      声の聞こゆる土手の夕映え


■四万十川の支流、仁井田川

 私の育ったのは元窪川町(現在は四万十町)平串というところで、正確に言えば四万十川の支流、仁井田川が身近な川でした。

 父、母、祖母、4人の姉、家族みんなが肩を寄せ合いながら暮らした日々。仁井田川に赤い鉄橋が掛かった時、家族は健在だった。隣のうちにもその隣にも子供が沢山いて、もらい風呂など当たり前。

 年長の男の子に付いて田圃や山を駆けずり回っていたこと。隣の兄ちゃんに鮒を素手で掴むコツを教わったり、蜆採りも泳ぎも一緒でした。冷えた身体を岩の窪みに当てて一休みしたこと。そんな家族はもう何処を探してもいません。

 古くて狭い我が家でしたが、もう帰る場所ではない。窪川の町はずれに住む義兄の家が実家となってもう15年が過ぎました。

 四万十川本流の土手を歩いた夏のことでした。学童の声のする夕暮、あの仁井田の川へもう一度帰りたい、あの頃へ戻りたい、そんな一瞬の気持ちがいとおしくて詠んだ歌です。

 古いノートから、四万十川の歌を、何首か抜き出してみました。(逸見)

  笹薮も釣りする人も靄のなか四万十の夏白く明けゆく 
  草覆う川辺につかむ鮒の腹きらりと夏の日を反らしたり
  おかっぱの髪ゆるるさま腹這いて見ていし川の橋崩おり
  石菖藻うねる四万十の清流に足を浸して息づくわれは
  沈下橋渡れば思う野辺送りの母の遺骨のコツりと鳴りしを
  菜の花の一面に咲く河川敷ふる里の川の流れ細まる

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック