小橋延夫(高知市)023

四万十川の激しき流れ踏ん張りて鰻筒つける蛍火の夜
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    四万十川の激しき流れ踏ん張りて

         鰻筒つける蛍火の夜

     (四万十川短歌全国大会応募作) 


■コロバシ(鰻筒)

 平成元年から平成11年の10年間、中村市(現四万十市)の幡多信用金庫に勤務した私は職場の同僚N氏の家に毎年招待されるのが、こよなく楽しみであった。

 夕方になると彼の持舟で四万十川に鰻筒(幡多ではコロバシと言う)の仕掛けにゆく。舟から川におりると激しい流れに足をすくわれて、ひっくり返ることも再三で河原にあがる頃はズブ濡れである。

 河原で涼風に吹かれながら乱舞する蛍に話がはずむ。長らく東京に住んでいたN夫人が「東京の暮らしに戻る気はしません」と力をこめて言われる。その夜は囲炉裏を囲んでN氏の心尽くしの鮎・鰻・川海老料理に時の経つのを忘れるのである。

 翌朝は暗い内から昨日つけた鰻筒を揚げに行くが、ずっしりと筒の重さを感じるときの「ときめき」は少年の頃と少しも変わりがない。

[プロフィール]

・四万十川短歌全国大会
http://waka100s.exblog.jp/d2006-03-17

・漁り火
http://waka100s.exblog.jp/d2006-03-21



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